交通事故で起こるケガは多岐にわたりますが、ここでは特によく見られる種類と具体的な症状についてご説明します。
原因:急な追突や衝突により、首が鞭(むち)のようにしなることで、首の筋肉、靭帯、神経などが損傷します。
首の痛み
首の後ろ側、横側、肩にかけての痛み。
首の動きの制限
首を回したり、傾けたりする際に痛みや違和感がある。
頭痛
後頭部やこめかみにかけての頭痛。
めまい
ふわふわするような、立ちくらみのようなめまい。
吐き気・嘔吐
めまいや自律神経の乱れから起こることがあります。
肩や背中の痛み・こり
首の痛みに伴って、肩や背中にも張りや痛みを感じることがあります。
手のしびれ・脱力感
神経が圧迫されることで、腕や手にしびれや力が入りにくいといった症状が出ることがあります。
耳鳴り
キーンという音や、耳が詰まったような感じがすることがあります。
視力障害
目のかすみ、焦点が合いにくいなどの症状が出ることがあります。
倦怠感・疲労感
全身のだるさや疲れやすさを感じることがあります。
睡眠障害
寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めたりすることがあります。
原因:衝突時の衝撃が腰に加わることで、腰の筋肉、靭帯、椎間板などが損傷します。
腰の痛み
腰全体、または一部分にズキズキとしたり、重苦しい痛み。
腰の動きの制限
前かがみ、後ろに反る、体をねじるなどの動作が辛い。
足の痛み・しびれ
坐骨神経痛のように、お尻から太もも、すね、足先にかけて痛みやしびれが広がることがあります。
感覚異常
足の裏や指先に感覚が鈍くなったり、ピリピリとしたりすることがあります。
筋力低下
足に力が入りにくい、つまずきやすいといった症状が出ることがあります。
肩関節の捻挫・打撲
事故の衝撃で肩関節を痛めることがあります。
肘関節捻挫・打撲
肘をぶつけたり、無理な力が加わることで起こります。
手関節捻挫・打撲
手をついたり、ハンドルを強く握ったりした際に起こります。
股関節捻挫・打撲
下半身に強い衝撃を受けた場合に起こります。
足関節捻挫・打撲
足首をひねったり、強い衝撃を受けたりすることで起こります。
股関節捻挫・打撲
下半身に強い衝撃を受けた場合に起こります。
筋肉の座礁(肉離れ)
衝突の瞬間に筋肉が急激に収縮したり、引き伸ばされたりすることで起こります。
頭部打撲
頭を物にぶつけたり、地面に打ち付けたりすることで起こります。
脳震盪
頭部に衝撃が加わることで、一時的に脳の機能が障害されることがあります。
脳挫傷、硬膜下血種など
より重篤な頭部外傷で、専門的な治療が必要です。
心的外傷ストレス障害(PTSD)
事故の記憶がフラッシュバックしたり、悪夢を見たり、強い不安感や恐怖感に襲われたりすることがあります。
自律神経失調症
めまい、動悸、息切れ、不眠、食欲不振など、様々な身体症状が現れることがあります。
抑うつ状態
気分が落ち込んだり、意欲が低下したりすることがあります。
交通事故の衝撃は、事故直後には自覚症状がないこともあります。しかし、数日後、数週間後に痛みや不調が現れることがありますので、油断せずに経過を観察することが大切です。
痛みや不調を感じたら、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしてください。
医療機関での診断を受けた後、整骨院で柔道整復師による手技療法などの施術を受けることも、症状の緩和や早期回復に繋がることがあります。
交通事故の治療費は、多くの場合、自賠責保険や任意保険によって支払われますので、ご安心ください。ここでは、これらの保険について詳しくご説明いたします。
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、自動車やバイクの所有者・運転者に法律で加入が義務付けられている保険です。交通事故の被害者の方を救済することを目的としており、相手の方が加入している自賠責保険を使って、治療費や慰謝料などが支払われます。
■どんな時に使えるの?
〇あなたが交通事故でケガをされた場合(相手がいる事故に限ります)。
〇歩行中や自転車に乗っていて車にぶつかられた場合。
〇相手の車に同乗していてケガをされた場合。
■治療費はどこまで見てもらえるの?
〇自賠責保険では、ケガの治療にかかる費用(診察料、検査料、施術料、薬代、通院交通費など)が、上限120万円まで支払われます。
〇当院での施術も、この自賠責保険の範囲内で受けていただくことができます。
■慰謝料ももられるの?
〇ケガの治療期間や程度に応じて、精神的な苦痛に対する慰謝料も支払われます。通院日数などに基づいて計算されます。
■手続きはどうすればいいの?
〇まずは、警察に交通事故の届け出を行い、交通事故証明書を取得してください。
〇相手の保険会社に、当院で治療を受けたい旨をお伝えください。保険会社から当院へ連絡が入り、手続きが進められます。
〇手続きがご不明な場合は、遠慮なく当院にご相談ください。丁寧にサポートさせていただきます。
任意保険は、自賠責保険ではカバーしきれない損害や、さらに手厚い補償を受けたい場合に、自動車やバイクの所有者・運転者が任意で加入する保険です。相手の方が任意保険にも加入している場合は、自賠責保険の上限額を超えた治療費や、その他の損害賠償金が支払われることがあります。
まれに、自賠責保険や任意保険が適用されないケースもあります。
■相手が無保険の場合
〇相手が自賠責保険に加入していない場合(非常に稀ですが)、政府の自動車損害賠償保障事業という制度を利用できる可能性があります。この制度は、自賠責保険と同様の範囲で被害者を救済するものです。
■もらい事故で相手に過失がない場合
〇あなたが完全に被害者であり、相手に全く過失がないと判断された場合(例:完全に停車しているあなたの車に、予期せぬ形で相手の車が衝突してきた場合など)、相手の自賠責保険は適用されないことがあります。ただし、あなた自身の任意保険に人身傷害保険などが付いていれば、そちらを利用できる可能性があります。
■故意による事故や犯罪行為によるケガの場合
〇わざと起こした事故や、犯罪行為によってケガをされた場合は、保険金が支払われないことがあります。
■ご自身の重大な過失による事故の場合
〇あなたの過失が非常に大きい場合、保険金の支払いが減額されたり、支払われないことがあります。
■労災保険が適用される場合
〇通勤中や業務中の事故でケガをされた場合は、労災保険が優先されることがあります。ただし、労災保険で不足する部分を任意保険でカバーできる場合もあります。
もし保険が適用されないといわれたら
ご自身で判断せずに、まずは当院または弁護士などの専門家にご相談ください。状況によっては、他の救済措置が取れる場合があります。
交通事故の補償問題で弁護士に依頼した場合の費用負担について、弁護士費用特約の有無でどの程度異なるのか、具体的な例を挙げてご説明します。
弁護士費用特約は、自動車保険や火災保険などに付帯できるオプションで、交通事故などの法的トラブルで弁護士に依頼する際の費用を保険会社が一定の範囲内で補償してくれるものです。
具体的な費用の目安
〇法律相談料:
1回の事故につき、10万円を上限として補償されるのが一般的です。
〇弁護士費用(着手金、報酬金、実費など):
1回の事故につき、300万円を上限として補償されるのが一般的です。
自己負担の具体例
〇弁護士に相談のみで解決した場合、相談料が10万円以内であれば、自己負担はほとんどありません。
〇弁護士に示談交渉を依頼し、弁護士費用(着手金、報酬金、実費の合計)が250万円で済んだ場合、自己負担は一切ありません。
〇弁護士に訴訟を依頼し、弁護士費用が350万円になった場合、弁護士費用特約の上限である300万円を超えた50万円が自己負担となります。ただし、訴訟費用が300万円を超えるケースは比較的稀です。
多くの場合、弁護士費用特約を利用すれば、高額な弁護士費用を自己負担することなく、弁護士に依頼することが可能です。
弁護士費用特約がない場合、弁護士に依頼する費用は原則としてご自身の負担となります。弁護士費用は、依頼する内容や事務所によって異なりますが、一般的には以下のようになります。
法律相談料
30分あたり5,000円~1万円程度が相場です。ただし、初回相談無料としている弁護士事務所も多くあります。
着手金
事件の内容や請求する金額によって異なりますが、10万円~数十万円程度が一般的です。着手金は、弁護士が事件に着手する際に支払う費用で、結果に関わらず返金されないことが多いです。
報酬金
事件が成功した場合に支払う費用で、**得られた経済的利益の数%~数十%**と設定されることが多いです。
実費
交通費、通信費、裁判費用、書類作成費用など、事件処理にかかる実際の費用が別途発生します。
自己負担の具体例
〇ケース1:
弁護士に示談交渉を依頼し、着手金として20万円、得られた賠償金の10%を報酬金として支払う契約をしたとします。最終的に300万円の賠償金を得られた場合、弁護士費用は着手金20万円
+ 報酬金30万円(300万円 × 10%)+
実費となり、合計で50万円に実費を加えた金額が自己負担となります。
〇ケース2:
訴訟に発展した場合、着手金がさらに高額になったり、日当(弁護士が裁判所に出廷する際などに発生する費用)が発生したりする可能性があり、自己負担額はさらに増えることがあります。
弁護士費用特約がない場合、弁護士に依頼するにはある程度の費用負担が必要となることをご理解ください。
ただし、弁護士事務所によっては、着手金を無料としたり、成功報酬の割合を低く設定したりするなど、費用面で配慮してくれる場合もありますので、複数の弁護士事務所に相談してみることをお勧めします。
まずはご自身の保険に弁護士費用特約が付帯していないか確認することが重要です。
ご不明な場合は、保険会社にお問い合わせください。もし特約がない場合でも、弁護士に相談することで、費用面を含めた最適な解決策を見つけることができるはずです。